ヤシューという男の巻
彼は誰からも好かれるすばらしい性格をしていたが為に、現地人の友達が彼の家を訪れることが
良くあったようだ、もちろん男ばかりではなく女性の訪問者もかなりいた、いやむしろ訪問者の
大半は女性だったようだ。
当時彼は生活苦にあえいでいたが、それでも日々楽しく過ごしていた、週末にはウインドサーフィン
を楽しみ、そしてディスコまたある時は訪問者と自宅で・・・・。
そんな彼がふと、”最近つくづくいやになってきた”とつぶやいた。
彼は、友達が家に来ることも泊まっていくこともあまり嫌には思っていない様だが、
泊まり客・訪問者のほとんどが帰る時に何か必ず一品は持ち帰って行くというのだ。
ある時は時計であったり、またある時はスプーンや皿であったりといった具合らしい。
おかげで彼の家の中はいつもきれいにかたずいている、というよりはほとんど物がない。
これほど物がないところから物を持ち出すというのはかなり大変なことのように思えるが、
訪問者たちは難無く成し遂げて行く。そして彼も見て見ぬふりをしてしまう。6度の訪問で
彼女たちの家には彼の家にあった食器セットが全てそろってしまうしくみだ。
ある時彼も意を決して、”だまって人のものを持って行くな、泥棒になるぞ”といったらしい。
すると彼女は、”じゃーこれちょうだい”といった。彼はただ黙ってうなずいただけだった。
何とさわやかなバカだろうか。まさにボランティアのかがみとでも言うほどのさわやかさだ。